Films I2Uの集大成となる映画『ガムにさよなら』。本作の核となる「物語」を編み上げたのは、立ち上げ初期からチームの言葉を支え続けてきた脚本家、伊豫冬馬(東京大学文学部)です。
演劇やプロの現場でも筆を振るう彼が、なぜ今、この「ループもの」という題材を選んだのか。作品の魅力と、その舞台裏に迫ります。
■ 「執着」が「勇気」に変わるまでの44分間
本作の主人公・斎人は、恋人との別れを受け入れられず、魔法の力で「最後の一日」をループさせます。企画当初、ログラインとして掲げられたのは「どうしても別れたくない青年が、永遠を手に入れる」という切実な願いでした。
しかし、物語は単なるロマンスでは終わりません。 伊豫氏の脚本が描き出すのは、ループという悦楽が、やがて「未来のない単調な虚しさ」へと変貌していく過程です。
「過去に囚われることは、本当に幸せなのか?」
この問いに対し、ファンタジーの枠組みを借りながらも、人間の心の機微を冷徹かつ温かく見つめる。それが本作『ガムにさよなら』の真髄です。
■ 脚本家プロフィール:伊豫 冬馬(Toma Iyo)

東京大学文学部 4年 Films I2Uの創設メンバー。文学部で培った深い洞察力と、演劇や外部の執筆案件で磨かれた構成力を武器に、数多くの物語を生み出してきた。I2Uにおいては、監督・荒木祥の描くヴィジョンを、言葉によって最も鮮明に具体化させる「物語の設計士」である。
■ 脚本家コメント
何か楽しいことがあったとき、その終わりにふと、一抹の寂しさを覚えることはありませんか。 楽しかった時間であるほど、名残は深く、胸に残ります。それが長年連れ添った恋人との別れであれば、なおさらです。
誰にでも訪れるその瞬間をどう乗り越えるのかを、本作ではささやかなSFの要素を織り交ぜながら描こうと試みました。
―― 伊豫 冬馬
■ 監督・荒木祥とのシナジー
農学部で生命や環境を見つめてきた監督・荒木と、文学部で人間の内面を深く掘り下げてきた脚本家・伊豫。この二人の対照的な視点が、本作に独特のリアリティを与えています。
本郷や江戸川といった日常の風景を、ループという非日常に塗り替えていく筆致。伊豫氏が紡ぐ「言葉」と、荒木監督が捉える「光と影」が混ざり合った時、観客は「味がなくなるまで噛み続けたガム」を吐き出すような、痛みを伴う救済を体験することになるでしょう。
🎬 上映会情報
伊豫冬馬が描く、美しくも切ない「決別の物語」。 その結末を、ぜひ劇場のスクリーンで見届けてください。
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日時: 2026年5月6日(水・祝)
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会場: シネマハウス大塚