本日、I2Uの新作短編映画「ガムにさよなら」が、ついにクランクインを迎えました!この一本の映画を届けるために、数え切れないほどの準備を重ねてきた私たち。物語が初めて形を持つこの日、現場は朝から特別な熱気に満ちていました。今回は、そんな撮影初日の様子を、裏側のエピソード満載で詳しくお届けします。
午前の部:美術で描く、主人公の「一年間の堕落した生活」
午後からの撮影に備え、午前中は監督、助監督、撮影部のメンバーで、物語の重要な舞台となる主人公・斎人の部屋作りからスタートしました。
今回の美術で表現したかったテーマは、「一年間堕落した生活を送る部屋」。そのコンセプトを元に、部屋の隅にゴミや空き缶を戦略的に配置し、さらには「引っ越してから一度も開けていないであろう段ボール箱」を置くことで、時が止まってしまったかのような主人公の停滞感を演出しました。
一方で、干しっぱなしの洗濯物で妙な「生活感」を出したり、物語の鍵となる主人公の私物を部屋のあちこちにそっと忍ばせたりと、細かい仕掛けも施しています。この部屋は窓から差し込む自然光がとても素敵だったので、その光を最大限に活かし、作り込まれた「堕落した空間」に、美しいリアリティを与えました。
午後の部:主人公の孤独、そして蚊との戦い
午後からはキャストも合流し、いよいよ撮影開始。この日は主人公の斎人が一人で過ごすシーンが多かったため、撮影は驚くほどスイスイと、効率的に進みました。
しかし、屋外の公園シーンでは思わぬ苦戦が。夏の終わりを惜しむかのように大量発生した「蚊」との壮絶な戦いが繰り広げられ、キャスト・スタッフ共に、集中力を保つのが大変でした(笑)。
そんな中でも、この日のハイライトは、主人公を演じる役者さんの「悲しみの演技」。モニターを食い入るように見つめていたスタッフ全員が、思わず息を呑むほどの表現力で、現場の空気が一変しました。物語の核心に触れる、素晴らしいシーンが撮れたと確信しています。
夜の部:池袋のバーで作り出す「別れの空気感」
陽が落ちてからは、池袋のバーを貸し切り、夜のシーンの撮影へ。 お店の素晴らしい雰囲気にスタッフ一同テンションが上がり、最高のロケーションで撮影できる喜びを噛み締めました。
ここでは、役者同士の会話シーンでの「リアルな空気感」を追求。例えば、テーブルの上に無造作に置かれた「飲み残しのグラス」の配置一つにもこだわり、会話の余韻やキャラクターの関係性が滲み出るような画作りを心がけました。
朝の美術準備から、夜の貸切撮影まで。長くて、時に困難もありましたが、初日から大きな手応えを感じることができた、非常に濃密な一日となりました。 今後の撮影レポートも、どうぞお楽しみに!
制作チーム I2U